ガラス絵の歴史

その歴史は古く、ヘレニズム時代にガラスの裏から絵を描いているものもあるそうです。
また、ヨーロッパで10世紀ごろ生まれたともいわれていますが、本格的なガラス絵は、板ガラスが生産され油絵の技法が確立される14世紀以降となり、イタリア・ドイツ・ルーマニア・チェコなどで発展してゆきます。
東方教会圏ではイコン作品が、それ以外の地域では風景や人物などの作品が描かれました。
後にインド・中国を経由し、日本へは17世紀ごろに伝わり当時は“びいどろ”と呼ばれていました。
明治中ごろまで、日本でも中国風のものや、お風呂屋さんのガラスまで、たくさんの作品がうまれました。

 

 

油絵とガラス絵の違いについて(小熊麻紗子編)

油絵とガラス絵。
土台となる支持体(基底材)以外は同じ材料を使いながら、正反対な
描き方をします。
油絵は、キャンパスや板などの上から油絵の具で描き、何層も重ねて
ゆくため、一番最後に描いたところが目に見えます。
サインは一番最後に、細部は仕上げに向かって描きこんでゆきます。

逆に、ガラス絵は板ガラスの裏から、直接油絵具で描き、何層も重ねてゆきます。
一番最初に描いたところが目に見えます。
サインは裏返しに最初に描き、ハイライトや細かい部分も最初に描きます。

板ガラスの厚みと透過性で、絵具自体の色が艶やかに見えるため
鮮やかな印象をうけます。